研究概要 |
角膜ヘルペスは単純ヘルペスウイルスの感染による角膜疾患である。チミジンキナーゼもしくはDNAポリメラーゼの遺伝子変異に起因する薬剤耐性難治例が問題になっており,今回はDNAポリメラーゼ遺伝子変異の検出法確立を目指し,以下のような研究実績を得ていると共に今後の展望を述べる。 1) プライマーの設計 単純ヘルペスウイルス1型のDNAポリメラーゼ遺伝子は3708塩基対からなる。この内薬剤耐性化に関与する可能性が非常に高いアミノ酸配列保存領域8つ(codon 437-963)をカバーする,7組のプライマーセットを設定した。これらプライマーを用いて,耐性ウイルスのDNAポリメラーゼ遺伝子変異を検出する。 2) 実験的薬剤耐性ウイルスの作成 単純ヘルペスウイルス1型PH株とVERO細胞を用いて,adenine arabinoside(ara-A)およびfoscarnetに対する耐性株の作成を試みた。Ara-Aに対するPH株のED_<50>を測定した所,4.4x10^<-5>Mであった。そこで10^<-4>Mおよび10^<-5>Mのara-Aを含む培養液中でPH株を5回継代培養し耐性株の有無を調べたが,まだ耐性株は出現していなかった。Ara-A耐性株確保のため,現在引き続き継代培養を続けている。Foscarnetに関しては,スウェーデンからやっと原末を手に入れ,同様の実験を始めだした所である。
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