原田病は、ぶどう膜、皮膚等のメラノサイトの存在する部位に炎症を来す全身性疾患であり、メラノサイトに対する自己免疫疾患と考えられている。今年度は、主に原田病患者血清IgG抗体が認識する自己抗原の探索を行った。IgG抗体の存在はその背景に抗原特異的T細胞の存在が考えられ、原田病に関わるメラノサイト自己抗原が単離できる可能性がある。 1. 既知のメラノソーム蛋白に対する免疫反応の検討:既知のメラノソーム蛋白であるMART-1.gp100、チロシナーゼ、TRP1、TRP2遺伝子を、COS細胞に導入し、タンパク質を発現させた。SDS処理後、電気泳動しウエスタンプロットを行い、患者血清と反応させたが、患者血清はいずれの蛋白とも反応しなかった。自己抗原は未知の分子である可能性があるが、次年度は免疫沈降法などで検討する。 2. 発現クローニング法による抗体認識自己抗原の探索:メラノサイトは入手が難しいので、高色素性ヒトメラノーマ細胞株SKme123からoligodTあるいはランダムプライマーを用いて2種類のλファージcDNAライブラリーを作成した。6人の患者血清を用いてoligodTライブラリーから約300万プラークをスクリーニングし、33個の陽性クローンを単離した。17個の遺伝子を同定し、そのうち12個は既知のものとホモロジーが認められたが、5個は未知の遺伝子であった。現在までに多くの患者に共通に認識される自己抗原遺伝子は見つかっていない。次年度は抗原スクリーニングを継続し、原田病に関係する自己抗原遺伝子の探索を行う。
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