Vogt-小柳-原田病(原田病)は、メラノサイトに対する自己免疫疾患と考えられている。原田病の病院と病態については未だ十分明らかではないので、原田病における自己抗原特異的T細胞の標的抗原分子の同定を試みた。原田病抗原に対する特異的抗体が血清中に含まれていると考え、血清を用いてその同定を行った。ウエスタンプロットによる解析では、原田病特異的なバンドは認められなかった。免疫沈降法により検討したところ、46kDa付近にSKmel23特異的なバンドを認め、原田病抗原の可能性が示唆された。ヒトメラノーマ細胞SKmel23からλファージのcDNA発現ライブラリーを作製し抗原の検索を行った。7人の患者血清を用いて、26個の遺伝子を単離した。解析の結果、原田病の特徴であるメラノサイト特異的と思われる遺伝子は存在しなかった。二人の患者で得られたKU-VKH-04はlens epithelium-derived growth factorと一致した。このタンパクに対する抗体は原田病患者の12人中4人に存在するだけでなく、健常人6人中3人にも認められたことから、原田病との関連はないのではないかと考えられた。原田病患者の髄液中の増加している単核球は、脳の脈絡叢メラノサイトの反応しているリンパ球を含んでいるのではないかと考え、患者の髄液からT細胞を単離した。このT細胞は、メラノサイトとメラノーマのタンパクを認識したが他の細胞のは認識しなかった。この反応は抗DR抗体によって阻害された。また原田病はDRB1^*0405 DQB1^*0401のクラスII拘束性があることが報告されている。これらの結果は、メラノサイト特異的なHLA-DRに拘束されたCD4+T細胞が原田病発症に関与している可能を示唆した。
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