研究1. 加齢黄斑変性の前段階の可能性が高いとされる軟性ドルーゼンを有する74症例の対側眼経過を調べた。12〜195カ月(平均58カ月)の経過観察中にドルーゼンが吸収消失した後に網膜色素上皮脈絡毛細管板の萎縮を生じ萎縮型加齢黄斑変性になったものが6眼8%あった。脈絡膜新生血管が発育し滲出型加齢黄斑変性になったものが15眼20%あった。 研究2. 片眼性の加齢黄斑変性の対側眼の中心窩から1500μmの範囲に63μm以上の軟性ドルーゼンが5個以上、250μm以上の大型の軟性ドルーゼンが1個以上、網膜上皮に局所的な色素沈着を認めるの3条件をすべて満たす場合には5年間で70%以上に脈絡膜新生血管を生ずると予測されている。そこでこれらの条件を満たす13例14眼に対し予防的レーザー光凝固を行った。光凝固はアルゴン緑あるいは色素黄色波長を用い、中心窩の耳側に位置する軟性ドルーゼンのみを直接弱凝固した。凝固平均21カ月経過観察した。凝固後6カ月の時点で中心窩とその鼻側も含め黄斑の大部分のドルーゼンが消失したものは5眼(36%)、直接凝固した耳側のものに加え中心窩および鼻例のドルーゼンが一部消失したものは5眼(36%)、ほぼ不変のものは4眼(28%)であった。最終経過観察時に視力の低下した例、光凝固部に萎縮瘢痕を認めた例、脈絡膜新生血管を認めた例はなかった。 軟性ドルーゼンの凝固により部分的なものを含め軟性ドルーゼンが消失するのが確認された。
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