目的:加齢黄斑変性の前段階である軟性ドルーゼンに対する予防的光凝固の有用性を検討する。 対象:中心窩から1500μmの範囲に軟性ドルーゼンが5個以上、大型軟性ドルーゼンが1個以上あり、局所的な色素沈着を認める22眼である。凝固前にインドシアニングリーン蛍光造影、フルオレセイン蛍光造影を行い脈絡膜新生血管(CNV)のないことを確認した。この22眼に対し光凝固を行った。凝固方法はアルゴングリーンまたはダイレーザーイエロー波長で中心窩無血管域を除く、耳側に位置するドルーゼンに直接凝固した。凝固後の経過観察期間は12〜59カ月、平均35カ月であった。そして、ドルーゼンの消失程度、CNV発生、ドルーゼン消失後の中心窩の状態、および視力の変化を検討した。 結果および結論:大部分の軟性ドルーゼンが消失したのは12眼55%、一部消失したのは2眼9%であった。大きい軟性ドルーゼンはすべて吸収した。小型の軟性ドルーゼンは吸収しないものがあった。1眼4%で凝固3カ月後にCNVが発生した。その部位は光凝固部に一致していた。中心窩領域に広範囲の色素沈着を認めた1眼で、中心窩のドルーゼンの消失後に中心窩領域に網膜色素上皮・脈絡膜毛細血管板の萎縮が出現した。視力は改善はなく、不変21眼95%、中心窩領域に萎縮を認めた1眼5%で悪化した。以上のことから、ドルーゼンは外観によって凝固後の消失の程度に差があることが明らかになった。光凝固がCNVを誘発することがあることが明らかになった。ドルーゼンの性状に応じた、およびCNVを誘発しない凝固条件や適応を検討する必要がある。広範囲の色素沈着を認める場合には中心窩に萎縮を生じ視力が低下したことから広範囲の色素沈着を認める例は適応外にした方がよいと考えた。 なお、同一期間中に光凝固を行わずに経過観察を行った対照群との比較研究の結果をまとめている途中である。
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