研究概要 |
各種活動性ぶどう膜炎患者それぞれにインフォームドコンセントを行い同意を得られた上で、患者の硝子体液を手術時に採取して-80度に冷凍保存した。主な活動性ぶどう膜炎は急性網膜壊死、サイトメガロウイルス網膜炎などで、対照となる非活動性ぶどう膜炎の硝子体液(サルコイドーシス、ベーチェット病など)、ぶどう膜炎の既往のない患者の硝子体液(黄斑円孔、黄斑前線維症など)のサンプルも採取、保存した。同様にこれらの患者の前房水も一部採取した。患者の前房水、硝子体液は遠心して沈渣(細胞)および上清に分離しそれぞれ目的別に使用した。これらの硝子体浸出細胞の一部はT細胞クローンを樹立し、そのT細胞の表面マーカーは蛍光抗体法を用いて解析した。樹立したCD3+CD4+CD8-およびCD3+CD4-CD8+のクローンを増やして保存した。 まず、硝子体上清中の炎症性物質(サイトカイン、ケモカインなど)の解析を ELISA法を用いて行った。活動性ぶどう膜炎硝子体サンプル中のMIF,IL-8,MIP-1β,sFas,sFas ligandなどはいずれも対照(非活動性ぶどう膜炎またはぶどう膜炎の既往のない硝子体)と比べ有意に高値を示した。活動性ぶどう膜炎前房水の上清中でも一部の炎症性物質では同様の結果が得られた。今後、活動性ぶどう膜炎の硝子体浸出細胞の免疫組織学的解析および硝子体上清中の接着分子の解析を行う予定である。
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