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1998 年度 実績報告書

トランスジェニックマウスを用いたPNETとヒルシュスプルング病の遺伝子関連の解析

研究課題

研究課題/領域番号 10671665
研究機関筑波大学

研究代表者

金子 道夫  筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (60152807)

研究分担者 渡邊 芳夫  名古屋大学, 医学部, 助手 (80201242)
キーワードトランスジェニックマウス / RB / p53 / ヒルシュスプルング病 / 化学発癌 / エチルニトロソウレア
研究概要

ヒトレニンプロモーターとアデノウィルス12型のE1A・E1B融合遺伝子(hRNE1AB)を組み込んだトランスジェニック(TG)マウスに高頻度で特異的にprimitive neuroectodermaltumor(PNET)が発生した。E1A、E1B遺伝子蛋白は、それぞれ癌抑制遺伝子RB、p53蛋白と結合してその機能を阻害し、細胞増殖を促進する。RB欠損マウスには下垂体腫瘍、p53欠損マウスには悪性リンパ腫が高率に発生し、これに化学発癌物質のエチルニトロソウレア(ENU)を投与すると、RB欠損マウスでは下垂体腫瘍の発生時期や腫瘍の進展が有意に早まり、p53欠損マウスでは悪性リンパ腫以外に高頻度でglioblastomaが発生したという報告がある。我々のTGマウスで生後20週齢以降に発生するPNETの70%以上は頭部に集中し、脳・頭骨内腫瘍も多い。そこで、ENUの腫瘍発生修飾効果を調べる目的で、hRNE1ABpositiveでENU投与、非投与、hRNE1AB negativeでENU投与、の3群のマウスについて、腫瘍の種類、発生時期、発生部位を比較検討した結果、hRNE1AB positiveでENU投与の62匹中、55匹(89%)にPNETが発生し、その他、リンパ腫(2%)、肺腺腫(55%)、肝や小腸の腺腫(5%)が認められた。Glioblastomaは発生しなかった。リンパ腫、肺・肝・小腸腺腫はENUによる発癌としてすでに知られており、hRNE1AB negativeのENU投与マウスでも同様の頻度で見られた。hRNE1AB negativeマウスはPNETもglioblastomaも全く発生しなかった。hRNE1AB positiveでENU非投与群(165匹)では、88%(145匹)もの高頻度でPNETが発生し、PNET以外の腫瘍は1例もなかった。ENU投与と非投与のTGマウスの累積生存率を比較した結果、PNET発生時期はENU投与群の方が早い傾向があったが、P=0.11で有意差はなかった。PNETの発生部位にも両者に差異はなかった。以上から、我々のTGマウスにENUを投与してもRB、p53遺伝子蛋白の機能は抑制されず、このTGマウスの発癌とENUの作用は独立した事象であると考えられた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 金子道夫、他: "神経原性腫瘍を特異的に発生するトランスジェニックマウスとその腫瘍の性状" 小児がん. 35(2). 174-179 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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