我々は今までに、羊やラットの横隔膜ヘルニア(以下、CDH)モデルを使用し、胎児の気管を閉塞することによってCDHに合併する低形成肺の成長を促進させることが可能であることを証明してきた。しかし、ヒトの妊娠子宮は外科的処置によって容易に収縮し、早産につながるので、この胎児手術の臨床応用を可能にするためには、妊娠子宮に対しより侵襲の少ない内視鏡的アプローチが望まれる。 羊を用いた実験では、極細径ファイバーによる胎児気管へのアプローチは技術的に非常に困難であることが判明した。そこで我々は硬性気管支鏡を用いて、胎児の気管内に特殊なバルーンを留置する方法を開発してきた。胎児の呼吸運動によるバルーンの喀出を防止するため、シリンダー型の離脱可能なシリコンバルーンを開発し、現在妊娠羊を用いて評価実験を行っている。将来は硬性気管支鏡を使用し、より小さい創からのバルーン留置を目指している。
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