研究課題/領域番号 |
10671666
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児外科
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊東 充宏 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (40261995)
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研究分担者 |
北野 良博 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30261994)
上妻 志郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (10272569)
橋都 浩平 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (50180815)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 胎児手術 / 横隔膜ヘルニア / 内視鏡下手術 |
研究概要 |
我々は今までに、羊やラットの横隔膜ヘルニア(以下、CDH)モデルを使用し、胎児の気管を閉塞することによってCDHに合併する低形成肺の成長を促進させることが可能であることを証明してきた。ヒトの妊娠子宮は外科的処置によって容易に収縮し早産につながるため、胎児手術の臨床応用を可能にするには、妊娠子宮に対し、より侵襲の少ない内視鏡的アプローチが望まれる。羊を用いた実験では、極細径ファイバーによる胎児気管へのアプローチは技術的に非常に困難であることが判明したので、今回我々は硬性鏡を使用して胎児の気管内に特殊なバルーンを留置する方法を開発した。胎児の呼吸運動によるバルーンの喀出を防止するため、バルーンの形状をシリンダー型とし、妊娠羊を用いてその評価実験を行った。その結果、離脱型バルーンによる胎児気管閉塞が技術的に十分可能であり、肺成長を促進させることが示された。また、子宮切開創は当初の約10cmから約1cmに短縮することが可能であった。子宮創の縮小化は、胎児手術のアキレス腱ともいわれる術後の早産を予防する上で非常に重要であり、その意味でも今回の実験結果は有意義であった。バルーンによる肺成長効果は気管結紮またはクリッピングによる方法と同等であった。従って、この方法を臨床応用した場合、アメリカから報告されている臨床結果と同等の効果が期待できると思われる。今後解決すべき問題点として、7例中1例でバルーンの逸脱が認められたことと、バルーンによる圧迫が原因で気管軟化症が惹起されたことが挙げられる。バルーンの性状や形態に工夫を凝らし、さらには胎児の大きさによって使用するバルーンのサイズを変更するなどの対策が必要であろう。
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