研究概要 |
今回、小児の悪性固形腫瘍の一つである神経芽細胞腫をとりあげ、その増殖調節因子としてのIn sulin-like growth-factor-1(IGF-1)とグルタミン(Gln)の意義をGlnの細胞内トランスポートの面から検討した。ヒト神経芽細胞腫のcell lineとしてSK-N-SHを用いた。培養液として10%FBS,2mM Glnを含んだDMEMを用い、5%CO_2,95%Air,37℃の条件下で細胞を培養した。細胞をsub cultureし、24時間後にGln濃度が2mM(Control)および100μMの培養液に変え、同時にIGF-1(50ng/ml)を投与した。3日後にそれぞれの細胞数を測定した。細胞が100%confluent後、同様の方法でGln濃度変化後16時間目のGlnトランスポートを測定した。 Gln欠乏(100μMGln)では細胞の増殖は2mMGlnに比し有意に低下した。IGF-1の投与により2mMGln,100μMGlnの両群における細胞数は有意に増加した。100μMGlnにおけるGlnトランスポート(640±43pmol/mg protein/min)は2mMGln(1041±213pmol/mgprotein/min)に比し有意に低値であった(p<0.01)。IGF-1投与により100μMGlnにおけるGlnトランスポートは有意に上昇した。 Kineticsによる分析では、このIGF-1の効果はGlnトランスポーター数;maximum transport velocity(Vmax)の増加によるものであった。以上よりIGF-1とGlnは互いに関連して癌細胞の増殖に関与していることが明らかとなった。
|