研究課題/領域番号 |
10671675
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
中田 幸之介 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70081734)
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研究分担者 |
小泉 宏隆 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10215155)
高桑 俊文 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90121201)
脇坂 宗親 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (30267596)
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キーワード | 神経芽腫 / アポトーシス / Fas / Fas Ligand / caspase-3 |
研究概要 |
平成9年度まで行ってきた神経芽腫群腫瘍におけるapoptosis現象と予後との関連に関する一連の研究の延長である今年度の成果は以下のごとくである. 今年度の研究では当初の計画どおり、神経芽腫のin vivoでのapoptosisのメカニズムを理解するために無治療神経芽腫腫瘍組織中のapoptosis制御蛋白の発現状態を観察した.またそれらによって発現する神経芽腫のapoptosis現象の程度と予後との関連を検討した. 42例の腫瘍組織paraffin切片を用い腫瘍組織中のFasおよびFas Ligand、caspase-3の免疫組織染色を行い、そのうち10例の腫瘍組織凍結材料についてはウエスタンブロット法によりFa,Fas Ligand、caspase-3の発現を分析した. 免疫組織染色による腫瘍中Fas発現は予想に反し87%の神経芽腫でほとんど認められなかった.これに反しおよそ70%の腫瘍にFas Ligand、caspase-3両蛋白の明瞭な発現を認めた.10腫瘍で行ったウエスタンブロット法による分析では全腫瘍中にFasの発現は認めず、Fas Ligand、caspase-3は種々の程度で発現した.Ac-DEVD-H peptideを用いたcaspase-3に対するinhibition assayにより、10例中4例の腫瘍でcaspase-3様活性の約90%におよぶ抑制効果を認めた. 以上、神経芽腫の腫瘍組織ではapoptosisに関連したFas蛋白そのものの発現はきわめて乏しいという結果を得た.これに反しcaspase-3の発現は旺盛であり、したがっておそらく神経芽腫のapoptosis誘発にはFas-independentの誘導経路の存在が示唆された.
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