研究課題/領域番号 |
10671675
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児外科学
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
中田 幸之介 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70081734)
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研究分担者 |
脇坂 宗親 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30267596)
小泉 宏隆 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10215155)
高桑 俊文 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90121201)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2001
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キーワード | 神経芽腫 / アポトーシス / カスパーゼ-3 / カスパーゼ-9 / XIAP |
研究概要 |
研究1:腫瘍組織(固定標本)42検体を対象に組織中のapoptosis制御蛋日の発現状態を免疫組織染色法で観察し、10例の腫瘍(凍結組織材料)で、Fas、Fasリガンド(FasL)、pro-caspase3および8の発現を検索した(ウェスタンブロット法)。その結果、大部分の腫瘍組織はFas発現を欠き、FasL、pro-caspase3および8は腫瘍の多くで高発現し、またpro-caspase3発現は予後良好群で有意に強発現した。またAsp-Glu-Val-Asp(DEVD), Ile-Glu-Thr-Asp(IETD)基質を用いたcaspase3、8様活性の測定では、pro-caspase3を強発現した腫瘍はDEVD水解活性も高値を示したが、pro-caspase8発現腫瘍の殆どはIETD水解活性を欠いた。またP17免疫染色法により、活性型caspase3のapoptosis細胞への局在が示された。 研究2:研究1により神経芽腫では何らかの非Fasシグナルがcaspase3を活性化しapoptosisを誘発するもとの推察されたことから、Fas非依存性のapoptosis発生機序について、caspase9およびapoptosis実行分子であるcaspase3の発現を調べて検討した。またcaspase阻害因子Iniibitor of apoptosis protein(IAP)のうち、XIAP(X-Iinked IAP)発現について検索した。凍結組織20例のウエスタンブロット解析では全例に前駆型caspasc9がみられ、その9例(45%)に活性型蛋白質(p37/p35)が検出された、前駆型caspase3も全腫瘍組織に発現し、13例(65%)に活性型蛋白質(p24/p17)を認めた。このうち7例(54%)ではp37/p35が同時にみられ、caspase9依存性にcaspase3が活性化を受けたと考えられた。XIAPは全腫瘍に発現したが、9例(45%)で発現量の低下を認めた。さらにそのうちの6例(67%)にはP37/P55が検出された。 まとめ:神経芽腫の自然退縮にはその一部にFas非依存性のapoptpsisが関与することの結論が得られた。そのapoptosis発現機序は、内在するcaspase9の活性化と、XIAPの発現抑制状態下において、活性化されたcaspase3によってより効率的に実行されるものと推察された。
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