研究概要 |
調査 約3kg雄の家兎耳介を用い、ネンブタールによる全身麻酔にて以下の調査を行った。 1.軟骨膜の軟骨形成能のみを利用した場合の固定期間とその後の後戻りの調査:軟骨膜-軟骨間を剥離、軟骨を除去核、90度に湾曲した熱可塑性プラスチックをあてた。固定期間は4週と8週、装具除去後、1週毎に角度を測定し組織学的検査を行った。 2.軟骨と軟骨膜を併用した場合の固定期間とその後の後戻りの調査:軟骨に5mm間隔で横方向の切開を多数加えた後、1.と同様の熱可塑性プラスチックをあてた。固定期間は4週と8週で、装具除去後、1週毎に角度を測定して1.と同様に行った。 3.rh-BMPの影響:4種の濃度を設定し、rh-BMPを手術操作時に投与、経時的に組織を採取、約1cm幅で切除し、断端の軟骨、骨の形成部位、厚さの確認、強度(弾性)測定、数種の染色法で病理組織学的に軟骨、骨の誘導部位を確認した。4,8,12週で行い比較検討した。 結果 結果として、1.では後戻りの遅さ、程度伴に固定期間に依存していることがわかった。2.では、8週群では切開部位の軟骨端同士を連続するように軟骨形成が行われていることがわかった。また、その後の後戻りの遅さ、程度伴に固定期間に依存しているものの、1.にくらべ程度が少ないことがわかった。以上より軟骨を切開するだけでも術後管理で十分な固定がなされれば自然な形態を得られることが示唆された。 3.は、rh-BMPは低濃度では濃度依存性に軟骨、骨ともに誘導できた。高濃度では骨の誘導が中心であり、軟骨には抑制的に働いた。しかし、骨形成量は濃度に依存はせず、その他の外的因子に多く左右されると考えられた。形成は部位により異なるがある一定の範囲内であり、再建形態の維持には有用と考えられた。 結論 軟骨の生成吸収過程に関する従来不明であった要素の一部を解明できた。本研究により、立体構造(全耳介、全外鼻等)を再建できる技術を実験的に開発した。本結果を利用し臨床応用が可能と考えられる。
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