研究課題/領域番号 |
10671680
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
獅々堀 彊 香川医科大学, 医学部, 助教授 (10033870)
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研究分担者 |
小林 良二 香川医科大学, 医学部, 教授 (00020917)
秦 維郎 香川医科大学, 医学部, 教授 (90164839)
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キーワード | 細胞接着 / Smith-Magenis症候群 / エラスチン / ミクロフィブリル / 36kDa MAGP / 細胞外マトリックス蛋白質 / RGD蛋白質 / アフィニティクロマトグラフィー |
研究概要 |
抗アレルギー薬の一種であるトラニラストは、ケロイド・肥厚性瘢痕形成の抑制治療においても有効であるが、その作用機序はコラーゲン合成の抑制など様々に想定されているものの、分子機構については未解明である。ケロイド・肥厚性瘢痕形成を抑制しうる低分子化合物を合成し、これを分子プローブとしてケロイド・肥厚性瘢痕形成のメカニズムを解明することを目的とした。トラニラストを分子プローブとして用いた研究によって、トラニラストの標的蛋白質は36kDa MAGPであることが判明した。 トラニラストをリード化合物とした低分子化合物(分子プローブ)を開発する過程においては、分子プローブをリガンドとしたdrug affinity chromatographyによりCa^<2+>依存性にイソキノリンスルホナマイド誘導体が36kDa MAGPと強い結合活性を示した。この分子は、コラーゲン、エラスチン繊維形成のkey stepに作用しているものと考えられる。 また、細胞接着における36kDa MAGPの役割についても研究した。36kDa MAGPはビトロネクチン等と同様に細胞接着を促進し、末端領域に存在するRGD配列が細胞接着に深く関与しているとの結果を得た。さらに、抗36kDa-MAGP抗体を用いて、免疫組織化学技法(光顕、電顕)によりケロイド・肥厚性瘢痕組織と正常組織とを比較し36kDa-MAGPの組織分布等について検討した。その結果、36kDa MAGPは、elastin-microfibrilと考えられる構造物に局在しており、組織の修復過程において重要な役割をしていることが推定された。
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