ケロイド・肥厚性瘢痕に有効な薬物の生体内標的分子をdrug affinity chromatographyにより直接的に同定し、標的分子の機能を明らかにすることを目的として研究を遂行した。このことによってケロイド・肥厚性瘢痕の形成メカニズムを解明する端緒が開かれることと考えられる。トラニラスト(ケロイド治療薬物)に加え、各種抗アレルギー薬、新規合成のAnthranilic acid誘導体、Cinnamic acid誘導体などのdrug affinity chromatographyにより、これら薬物、化合物の生体内標的分子は、36kDa-microfibril associated glycoprotein(36kDa MAGP)であることが明らかにされた。薬物の抗ケロイド作用と36kDa MAGP結合能は相関していた。更に36kDaMAGPの免疫組織学的研究から、36kDaMAGPは、皮膚のエラスチン線維形成に決定的役割を果たしていることが明らかとなった。
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