研究概要 |
1.雄6週令Lewis近交系ラットを用いて血管柄付下顎移植モデルを作成、radioactive microsphere,color doppler flow meterなどによる血流測定を行った。その結果、測定値において、移植した下顎頭とコントロール(recipientすなわち正常の下顎頭)との間に有意差を認めなかった。これより、移植された下顎頭にも正常な状態とほぼ同等の血流のあることが示された。 2.雄6週令Lewis近交系ラットを用いて血管柄付下顎移植モデルを作成、graftの下顎頭を移植後2、4、7、14日日に取り出し、アルカリフォスファターゼの局在およびI,II型コラーゲンの局在を調べた。その結果、増殖層近傍の軟骨細胞層を中心にI型コラーゲンの発現を認めた。一致する部位にII型コラーゲンの発現は認められなかった。なお、骨形成は見られなかった。 3.雄3週令ラットをdonorに、8週令ラットをrecipient(共にLewis近交系)に異所性頭部移植モデルを作成、graftの下顎頭を移植後2、4、7日目に摘出してI,II型コラーゲンの局在を検討した。その結果、実験2)と同様、増殖層近傍の軟骨細胞層を中心にI型コラーゲンの発現を見た。なお、一致する部位にII型コラーゲンの発現は見とめられず、骨形成もなかった。 以上の結果より、力学的負荷が下顎頭軟骨細胞の形質発現に影響を与えていることが明らかとなった。ただ、力学的負荷を免荷すると未分化間葉系細胞が骨芽細胞へと分化して行くのか否かは、はっきりと断定できなかった。
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