平成11年度の研究では、PLLA-PGAポリマーを用いた生体内吸収性ポリマーと培養細胞の複合体移植実験を行い、指骨および指関節の再生を試みた。まず、PGA繊維をヒト指骨(末節骨、中節骨)の鋳型に入れて、2%PLLA溶液に浸した。PLLAは、PGA繊維間の化学的架橋を促し、出来上がったPGA/PLLAポリマーは、ヒト指骨の3次元形態を正確に維持していた。次に、子牛の前腕部より採取した軟骨細胞と骨膜を用いて、骨膜・軟骨細胞-ポリマーの複合培養を行った。この複合体を動物体内(ヌードマウス皮下)に移植したところ、肉眼的、組織学的に正常な骨と軟骨構造を持つ指骨・指関節が形成された。
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