研究概要 |
1.実験的検索 ラットの座骨神経を切断した脱神経肢を作成し,脱神経後どれくらいの期間で再生筋細胞の非可逆性変性が起こるかにつき検索した.具体的にはこれらのラットの神経移植を行い術後4ヶ月で神経再支配された腓腹筋を採取し,光顕的検索,電顕的検索にて筋細胞の再生状態または変性状態を観察中である.現時点までの結果では,神経切断後2ヶ月以内の神経再建では筋は正常に回復するが,3ヶ月以上の脱神経では回復筋は形態的に正常にならないことがわかった. 2.臨床的検索 川崎医科大学解剖学教室の屍体を用いて下肢の知覚神経の血行支配に関し検索を行った.その結果,血管柄付神経移植片の候補として腓腹神経,伏在神経,浅腓神経,外側大腿皮神経が臨床応用に有力な候補となることがわかった.この検索の過程で神経の支配血管を用いた新しい穿通枝皮弁が開発できることが判明した.これらの臨床の結果の一部は平成11年6月の第13回国際再建外科学会(Los Angelus),第12回国際形成再建美容外科学会(Sanfrancisco),第3回国際穿通枝皮弁講習会(Munich,1999年11月)で報告した.また,いくつかの英論文がすでに掲載予定である. 3.今後の課題 臨床麻痺の臨床例に対する新しい再建術を開発する.
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