研究概要 |
本研究の進行状態は以下の2点の理由により大幅に遅れている.(1)本研究に対する科学研究費交付の決定が半年遅れたこと,(2)申請当時,使用予定であったCD14抗体:ED9(serotec社製)は,その後の抗体制作グループの検討結果,CD14の特異抗体ではなくratSIRP(a new molecule of the IgG superfamily)を認識することが明らかとなり,新たにCD14抗体を作成する必要性が生じたことである.1)CD14蛋白のアミノ酸解析の結果,優先順位の高い順番に26-45(vnpamvvritdkgleyaake),309-327(ppifnrnhrspvttptptm),262-278(tptptmslpedskqmv)の3つの部位が候補にあがった.効率的にCD14特異抗体を得るためにこの3種類のアミノ酸を混ぜて免疫することとし,各部位のアミノ酸のペプチド合成を行った.各合成ペプチドに関し,26-45はC末端に,309-327はN末端に,262-278はC末端に付加的なCysを付けるMBS法でカップリングを行った.合成ペプチド抗体を2羽のウサギに免疫し,ラットCD14に対する特異抗体の作成が現在進行中である.CD14抗体作成が完了後,この精製抗体の特異性や中和抗体としてあるいは免疫組織化学的検索に使用可能であるかを検討し,実験に取りかかる予定である.2)LPS投与後のラット辺縁歯周組織でのTNF-α mRNA発現を検討した.LPS投与群では,1時間後よりJE細胞やJE直下の結合組織内の血管内皮細胞,好中球やMφ等の浸潤細胞の一部にTNF-α mRNAの発現がみられた.3時間後,JE細胞はTNF-α mRNAを強く発現するようになり,JE全体が強く染色されることもあった. 1日後になると各上皮における発現は減弱する傾向を示したが,歯根膜線維芽細胞や骨芽細胞における発現は依然として保たれていた.3日後以後,歯周組織におけるTNF-α mRNA発現は徐々に減弱する傾向を示した.このTNF-α mRNA発現にLPS受容体であるCD14がどの様に関わっているかについて作成したCDl4抗体をin vivoに投与し検討する予定である.
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