研究概要 |
口腔レンサ球菌における薬剤耐性機構を解明するため、歯周炎および耳鼻科感染症患者由来のStreptococcus mitis,S.oralisの薬剤感受性と薬剤耐性遺伝子の解析を行った。 Streptococcus mitis,S.oralis計83株のマクロライドに対する感受性試験を行った結果、約20%が耐性を有しており、特に鼻腔分離株に高頻度に耐性株が存在していることが明らかになった。この耐性株についてerm、msrおよびmef、ereおよびmph geneのオリゴヌクレオチドプローブを作成しPCR法によって検出した。その結果、耐性株の約50%はerm遺伝子を保有していることが推察された。さらに残りの菌株中にmefEを保有すると思われるものが3株存在していた。これらのPCR産物の塩基配列を決定したところ、Tn917,Tn1545上のermB遺伝子と95%以上の相同性を有していた。さらに同一宿主内のブドウ球菌に存在するerm遺伝子とはその起源が異なっていることが示唆された。またmefE PCR産物の塩基配列を決定したところ、S.pneumoniaeのmefE構造遺伝子と完全に一致した。このうちの1株について、^<14>C-エリスロマイシンの菌体内蓄積量を測定したところ、mefE陰性株に比し有意にその蓄積量が低く、またプロトンコンダクターの添加によって、菌体内蓄積量が回復した。このことから、口腔レンサ球菌においても薬剤排出系の耐性菌が存在していることが示唆された。
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