研究概要 |
これまでに、口腔レンサ球菌における薬剤耐性機構の解明の目的で、口腔および鼻腔由来のStreptococcus mitis,Streptococcus oralis,S.salivariusの各種抗菌薬感受性試験および耐性遺伝子の検出とその構造解析を行った。 その結果、約20%がマクロライド耐性を示し、特に鼻腔由来株に高頻度に耐性株が存在していた。この耐性株中約50%がリボソームRNAメチル化酵素遺伝子ermを保有していた。またその他中等度耐性株の37%は薬剤排出ポンプ遺伝子mefEを保有していることを明らかにしてきた。特にerm遺伝子保有株は14および15員環マクロライド薬erythromycin,clarithromycin,azithromycinに構成的耐性を示し、16員環マクロライドrokitamycin,midecamycin,leucomycinには誘導薬非存在下では感受性を示したがerythomycin存在下では耐性を示した。したがって、マクロライド耐性株の多数を占めるerm陽性株に対し有効な抗菌薬の検討が課題とされる。そこで各種耐性遺伝子型に対する新抗菌薬エリスロマイシン誘導体新ケトライドHMR3647の抗菌活性について検討した。その結果、erm,mefE保有株およびその他未知の機序によるマクロライド耐性菌全株に対してMICは1μg/ml以下を示しこれらに有効であった。さらにエリスロマイシンによる耐性誘導下においても同様のMICを示し、16員環マクロライドに誘導耐性を示したerm型株に有効な抗菌薬であることが明らかになった。
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