研究概要 |
口腔および鼻腔由来のS.mitis、S.oralisおよぴS.salivariusの各種抗菌薬感受性試験を実施し、検出された耐性菌こついて薬剤耐性遺伝子の解析および耐性菌に有効な抗菌薬について検討した。その結果以下の研究成果が得られた。 1.S。mitis、S.olarisおよびS.salivarius系84株のマクロライドに対する感受性試験の結果、13株がerythromycin耐性を有していた。このうちeythromycinのMICが512μg/ml以上の高度耐性菌が5株存在し、これらはazythromycin,clarithromycinに対しても同様の構成的高度耐性を示した。しかし、16員環のrokitamycin,leucomycin,midecamycinに対してはerythromycin非存在下では14〜15員環マクロライドに比し低MICを示し、誘導型耐性であった。その他の中等度耐性菌はいずれも誘導能は示さなかった。 2.耐性株13株について各種耐性遺伝子をPCR法で検出した。高度耐性菌全5株と中等度耐性菌の1株はリボソームRNAのメチル化酵素遺伝子erm、中等度耐性菌中3株は薬剤排出ポンプ遺伝子mefと推測される増幅産物が検出された。 3.erm遺伝子陽性株のPCR産物の塩基配列を決定したところ、Enterococcus faecalis上のTn1545のermB遺伝子と極めて高い相同性を有していた。 4.mefE遺伝子陽性株のPCR産物の塩基配列を決定した。3株全てS.pneumoniaeのmef geneと100%の相同性を有しており、口腔レンサ球菌においてもmefE遺伝子による薬剤排出ポンプ系の耐性菌が存在していることが明らかになった。 5.マクロライド高度耐性菌に対し、新ケトライドHMR3647の有効性について検討した。HMR3647は16員環マクロライドに誘導耐性を示したerm陽性菌に対するMICは全て1μg/ml以下となり、誘導能を有する菌株にも有効であることが明らかになった。
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