研究課題/領域番号 |
10671705
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
小林 繁 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (10118078)
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研究分担者 |
真鍋 義孝 長崎大学, 歯学部, 助教授 (80131887)
六反田 篤 長崎大学, 歯学部, 教授 (10047821)
伊東 励 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (10106289)
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キーワード | 琉球列島 / 歯の非計測的形質 / AUS System / 沖縄本島 / Sinodonty / Sundadonty |
研究概要 |
東アジア集団における琉球列島住民の位置付けを明確にする目的で、東アジア諸集団について基礎データが安定している歯の非計測的形質を用いて検討した。資料は沖縄本島現代人男子106名、女子98名より、口腔内印象によって得られた歯の石膏模型を用いた。歯冠に出現する17形質の分類基準は、AUS Systemを使用した。 17形質のうち特徴的な7形質について、日本の10集団と比較した。上顎中切歯のシャベル型、ダブルシャベル型、上顎第一大臼歯のカラベリ形質、下顎第二大臼歯のY型咬合面溝では東北アジア型Sinodonty的で、上顎第一大臼歯の第5咬頭、下顎第一大臼歯の屈曲隆線では東南アジア型Sundadonty的であった。このことから沖縄本島住民は東北アジア人の特徴を多く持っていることが明らかになった。 17形質それぞれの持つ特徴を総合的に判断するために、沖縄本島住民を含む日本の11集団間のSmithの距離をもとに主座標分析を行った。沖縄本島住民は東南アジア型Sundadonty的特徴を持つ縄文時代人や北海道アイヌより、弥生時代人や現代九州人に近かった。また、東アジアと新大陸の集団を加えた36集団による主座標分析では、日本の在来系集団(縄文時代人や北海道アイヌ)は東南アジア型に含まれ日本の渡来系集団(北部九州弥生時代人)は北中国にやや重なって位置するのに対して、沖縄本島人は東南アジア型Sundadontyと東北アジア型Sinodontyの境界近くに位置していた。 今後は、宮古島と石垣島を含めた地理的変異を明らかにしていきたい。
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