研究概要 |
東アジアにおける琉球列島住民の位置付けを明確にする目的で歯の計測を行った。資料は,宮古島男子156名,女子132名,石垣島男子310名,女子338名の口腔内印象によって得られた歯の石膏模型を用い沖縄本島住民と比較検討した. 各島内男女間を比較すると沖縄本島のUI2の近遠心径,UC,LCの近遠心,唇舌径,LI1の唇舌径では有意に男が女よりも大きな値を示していたもののその他では男女間に有意差はなかった。宮古島では上顎は全ての項目で,下顎ではLI2の唇舌径,LCの近遠心径,唇舌径で男が女よりも有意に大きかったがその他は男女間に差はなかった。石垣島ではUI1,UI2の近遠心径,LI2の唇舌径,UC,LCの近遠心径,唇舌径においては有意に男が女よりも大きな値を示していた. 各島間を比較すると,沖縄本島-宮古島間では男では全ての前歯群の近遠心径,頬舌径共に沖縄本島の方が宮古島よりも有意に大きな値を示しており,女でも同様に全てにおいて沖縄本島が有意に大きかった。沖縄本島-石垣島間でも男女共に全ての項目において沖縄本島が石垣島よりも有意に大きな値であった。宮古島-石垣島間では女のUI2の近遠心径では有意差はみられなかったもののその他は全て宮古島が石垣島よりも有意に大きな値を示していた. 今回の調査では沖縄本島から宮古島,石垣島へと南西方向に下るにつれて歯の大きさは一般的に小さくなる傾向にあり地域性が認められた.
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