研究課題/領域番号 |
10671713
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
若月 英三 昭和大学, 歯学部, 教授 (90085738)
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研究分担者 |
中島 功 昭和大学, 歯学部, 講師 (90164178)
近藤 信太郎 昭和大学, 歯学部, 講師 (60186848)
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キーワード | アジア集団 / Sundadonty / Sinodonty / モンゴロイド / 日本人 / 中国人 / フィリピン人 / 頭顔部 |
研究概要 |
埴原の日本人の起源についての二重構造論による日本人の成立過程は、 1)日本人の祖先は、少なくとも二万年以上前に移動してきた東南アジア系集団(原アジア人)を基盤として成立した。 2)2000年あまり前に北東アジア系の集団(渡来系弥生人)が渡来し始め、大陸から稲作技術や金属器など高度の文化をもたらした。また、在来系集団(在来系弥生人)との混血も徐々に進んだ。 3)渡来系集団は弥生時代後その数を増し、六世紀ごろ近畿地方で朝廷を確立した。また大陸からの渡来は、その後も平安時代初期まで続いた。 4)東南アジア系の在来集団と北アジア系の渡来集団との混血は現在でも進行中であり、地域によって混血率が異なっている。 5)混血率の地域差は、北海道(アイヌ)、沖縄、東日本、西日本にみられる身体的特徴の差、および、おそらくは文化の地域差を生む原因となった、と述べている。 また、日本人の形成に関与した縄文人と渡来系弥生人が、それぞれ代表的なSundadontとSinodontに属するといわれている。 そこで、著者らは、モンゴロイドの基盤となる集団と近縁であると考えられるSundadontに属するフィリピン人とSinodontに属する日本人と日本人の起源と関係の深い中国人の頭顔部の生体計測を行い、統計的に検討した。 その結果、頭顔部の計測項目においても、日本人は北方アジア系である中国人と南方アジア系であるフィリピン人の間にある項目が多かったが、中国人に近い項目もあれば、フィリピン人に近い項目もあった。したがって、現代の日本人の頭顔部は2つの形質が現在でも進行中と考えられ、著者らの研究は埴原の二重構造論を支持するものである。
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