研究概要 |
(1)マウス発生段階におけるSez12プロモータ解析 Sez12のプロモータ領域を含む染色体DNAをクロー二ングし、塩基配列解析の絡果、Sez12の5'側上流領域にはプロモータ領域特有のGC配列が頻繁に認められた。捕乳類のゲノムDNAではGC配列がメチル化され、遺伝子発現が制御されることが知られている。RNA blot解析から、8.5日目胚より生体に至までマウス頭部でSez12発現レベルが高く、in situ RNA hybridizationで脳を含めた顔面領域および第一鰓弓で特異的Sez12シグナルが認められた。マウスSez12は顎顔面領域の形態異常を伴うヒトDiGeorge症候群患者の染色体欠損部位と相同性を示すマウス染色体領域にコードされている(Kajiwara,K.et al.Brain Res印刷中)。従って、今回クロー二ングしたSez12遺伝子上流領域に顎顔面領域特異性を制御する塩基配列が存在すると考えられる。Sez12上流遺伝子およびその部分的欠損変異体の下流にマーカ遺伝子(クラゲGFAP遺伝子)を挿入したミニジーンをマウス線維芽細胞に導入させ、蛍光シグナルを指標に検討したところ、Sez12転写開始部位の上流1.5kbがSez12発現に必須領域であることが認められた。現在、この必須領域に制御されたマーカ遺伝子の発現を遺伝子導入マウスを用いて解析中である。 (2)Sez12遺伝子産物に関連するシグナル伝達経路の解明 Sez12蛋白質に対する抗体をいくつか作製し、関連する細胞内物質の同定を行っている。 (3)Sez12ノックアウトマウス作製 現在、Sez12ターゲティングベクターと相同組換えをおこした胚幹細胞(ES細胞)をスクリー二ングしている段階で、来年度中にノックアウトマウスを作製する計画である。
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