1.Sez12プロモータの機能解析 Sez12遺伝子プロモータ活性についてクラゲGFP遺伝子の発現による蛍光シグナルを指標に検討し、Sez12発現には転写開始点より上流260bpが必須であり、その塩基配列には転写因子Sp1・c-Est1の結合ドメインが認められた。c-Ets1は神経冠細胞・脳・胸腺での発現が高く、Sez12mRNAの発現分布と相関が示唆される。またレチノイン酸によりc-Ets1を介してSez12遺伝子発現が誘導された。レチノイン酸代謝異常は頭部顔面領域に発生異常を引き起こすことから、Sez12遺伝子産物により正常な形態形成が維持されることが考えられる。 2.Sez12遺伝子産物に関連するシグナル伝達の解析 Sez12は膜タンパク質をコードし、細胞接着・細胞間相互作用・情報伝達に関わる細胞外ドメインを備えている。そこでアフリカツメガエル卵母細胞にSez12タンパク質を発現させ、情報伝達に関わる糖脂質であるgangliosideをリガンドとして用い、電気生理学的に検討した。未処理卵母細胞gangliosideによる細胞内カルシウムを介したシグナル伝達システムが存在することを確認後、Sez12タンパク質発現卵母細胞でgangliosideの効果を検討したところ、未処理卵母細胞の約3倍大きな内向き電流を認めた。 3.Sez12ノックアウトマウス作製 現在、キメラマウスのgermline transmissionを確認中である。Sez12がDiGeorge症候群発症に関わる遺伝子ならば、相同組換えを起こしたES細胞由来の100%キメラマウスまたはへテロ型ノックアウトで何らかの異常が認められるはずである。現在100%キメラマウスを得ているが形態的・機能的に異常は認められないことから、Sez12がDiGeorge症候群の重篤度に関わる遺伝子という可能性を考えている。
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