1.Sez12染色体マッピングおよびヒト染色体とのリンケージ マイクロサテライトを用いた解析により、Sez12はマウス第16番染色体テロメアの隣接領域に存在していた。この領域はDiGeorge症候群患者の遺伝子欠損領域との間で高い相同性を示す。 2.マウス発生段階におけるSez12遺伝子発現 RNA blot解析で、さらにwhole-mount in situでもSez12 mRNAは器官形成期のマウス胚の頭部顔面領域で、他の領域よりその発現量が増加していた。特にfirst branchialarchおよびtelencephalonにおけるSez12 mRNAレベルの上昇が認められた。 3.Sez12プロモータ領域の同定およびその機能解析 Sez12の5'隣接ゲノムDNA断片をクラグGFP遺伝子の上流に挿入し、マウス線維芽細胞NIH3T3に導入し、蛍光シグナルを検討した。Sez12プロモータ活性には上流273bpの塩基配列が必須であった。またレチノイン酸投与により蛍光シグナルの強度が増加した。塩基配列を検討したところ、転写因子c-Ets1のコンセンサス配列が転写開始点から上流約25bpに存在し、このような発現動態を引き起こしていた。 4.Sez12遺伝子産物に関連するシグナル伝達経路 アフリカツメガエル卵母細胞にSez12タンパク質を発現させ、電気生理学的に検討した。Sez12タンパク質へのリガンドとしては、情報伝達に関わる糖脂質であるgangliosideを用いた。未処理卵母細胞でも、gangliosideをリガンドとしたシグナル伝達経路が存在することを確認後、Sez12 mRNA導入卵母細胞では、gangliosideにより未処理卵母細胞の約3倍大きな内向き電流を観察できた。 5.Sez12ノックアウトマウスの作製およびその解析 ES細胞での標的遺伝子ノックアウトによるSez12変異マウス作製を試みており、キメラマウスのgerm line transmissionを確認中である。現時点ではキメラマウスに形態異常など認められない。今後ノックアウトマウスを作製し、形態学的・組織学的検討を行う予定である。
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