研究課題/領域番号 |
10671725
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
岸 好彰 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (60084779)
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研究分担者 |
小園 知 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40084785)
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キーワード | ADSチタン・インプラント / 上部構造装着 / 咬合 / インプラント界面 / 微小血管構築 / 血管鋳型 / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
上部構造を装着して9ヵ月間の長期にわたって咬合を営ませた骨内インプラント周囲の界面骨形成と微小循環について検索した。実験にはビーグル犬を用い、あらかじめ下顎臼歯部を抜歯し1年経過した下顎骨にADSインプラント体を植立した。インプラント植立6ヵ月後に上部構造を装着した。装着9ヵ月後に麻酔下で1)骨付き血管鋳型標本、2)非脱灰組織切片を作製し、これを走査型電顕、光顕、軟X線で観察した。その結果・考察:インプラント界面は部位によって異なるように観察されたが全表面積のおおよそ70〜80%前後が界面骨、残り20〜30%前後が線維性結合組織(界面結合組織と呼ぶ)であった。界面結合組織は一部に集積するのではなく、ある間隔をもって界面に散在する。界面結合組織の多くは小数の特異な形態・走行の毛細血管を伴うが、全く血管を伴わない界面結合組織もある。この血管は界面骨の裏側(骨髄側)に存在する血管網からの細技で、骨髄の大きな血管網と交通している。骨表面のハウシップ窩(骨吸収窩)の存在が、骨の代謝活性を形態学的に示唆していることから、界面骨表面(インプラント側)のハウシップ窩を検索した。界面骨と血管を伴わない界面結合組織に被われた界面骨の表面にはハウシップ窩を観察できなかった。これに対して血管を伴った界面結合組織に被われた界面骨の表面にはハウシップ窩を観察した。この結果から、血管分布の少ないインプラント界面の骨代謝活性が極めて低く、したがって一度界面に感染が波及すると防御のしようがないことが微小循環の上からも示唆された。またインプラント界面は100%骨組織で被われることがないこともこの実験で示唆された。
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