研究課題/領域番号 |
10671725
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
岸 好彰 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (60084779)
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研究分担者 |
小園 知 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40084785)
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キーワード | チタン・インプラント / インプラント界面上皮 / プラークコントロール / 微小血管再構築 / 微細血管鋳型 / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
インプラント植立後に歯槽粘膜がインプラントと接し、あたかも歯肉のような状態になる。このうちインプラント界面と接する軟組織は上から順に上皮、結合組織、歯槽骨となる。この上皮をインプラント界面上皮(以後は界面上皮)とよぶ。今年度は界面上皮直下に再生される血管網を、歯科インプラントにおける口腔からの感染を防ぐ防御機構として評価することを目的として「プラークコントロール下におけるインプラント界面上皮直下の血管再構築」として実験・観察した。臨床的に健康とされる歯肉でも、程度の差こそあれ歯肉炎に罹患している。インプラント周囲の軟組織も同様で、そのままでは正しい評価が出来ない。そこで植立して3カ月後から歯ブラシによるプラークコントロールを毎食後、毎日1回、42日間行った。その結果、今回のプラークコントロールを行った例では、先のプラークコントロールをしなかった例に比べ、インプラント周囲の軟組織に著しい改善が肉眼的に確認された。またブラッシングによるプラークコントロール下の歯肉組織では、上皮の固有層への突出(上皮突起)がなく、付着上皮・結合組織中の好中球、リンパ球、形質細胞のわずかな存在が観察されたが、プラークコントロールをしていない臨床的に健康な歯肉とは違う、理想に近い健康な歯肉と判断できた。界面上皮直下の血管網は一層の毛細血管から構成され、長径三十〜二百数十μm程の漁網状として認識された。この血管網は網目の形態を変えることなく上縁に向かい、水平に走行する口径のやや大きな静脈性毛細血管に吻合していた。プラークコントロール下の歯肉と同等の改善が行われたものと、観察した血管構築像から逆に類推できる。
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