研究課題/領域番号 |
10671726
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 和人 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (00084707)
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研究分担者 |
寺田 仁 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (70267508)
松尾 雅斗 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (30190416)
岸 好彰 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (60084779)
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キーワード | 歯髄の微小循環 / リンパ管様静脈 / 血管鋳型法 / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
歯髄という硬組織に囲まれた空間(歯髄腔)には密な微細血管網が存在することが知られている。歯髄の微小循環は歯髄内の組織圧に大きな影響を受け、炎症が起こると血管透過性が冗進する。そのため血管から滲出した血漿成分が拡散し、結果的に歯髄内圧が亢進することにより微小循環障害を惹起させるが、歯髄の恒常性は保たれている。そこには、いったん滲出した血漿成分を回収する機構が急性炎症発症と同時に形成され、起炎物質等を歯髄外に排出すると考えられている。そこでイヌ歯髄血管網が透けて見えるまで象牙質を切削し、外的刺激により歯髄に急性炎症を惹起させ、術後4時間から7日に歯髄の微小血管網の血管鋳型標本を作製し、これを走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、術後4時間では血管に注入されたレジンは透過性亢進によって血管外に漏出し、組織内に瀰漫性に拡散していた。1日後では拡散していたレジンは小球状にまとまり、3日後には念珠状に連なり、一部は静脈性毛細血管と連絡している像も観察された。7日後には念珠状の鋳型の表面の凸凹が消失し、所々にV字型の切れ込みを持つ鋳型へと変化し、静脈との連絡も観察された。5'-Nase ALPaseの反応では末梢のリンパ管は低かった。以上の結果から歯髄の辺縁部にリンパ管は確認されず、炎症時に出現した念珠状の鋳型は微小循環系の一部が変化して、リンパ管様の性質を持つようになったと推測される。
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