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平成10〜12年度にわたる3年計画の最終年度の研究として、鼓索神経を切断あるいは軸索断裂することにより、ラット舌の茸状乳頭ならびに舌下腺を脱神経し、茸状乳頭を支配する味覚神経ならびに舌下腺の腺房細胞と筋上皮細胞を支配する副交感神経の栄養的について形態学的に検討した。またラットWeber腺の組織構築ならびに発生分化過程詳細に検索するとともに、脱神経したWeber腺を用いて舌咽神経の栄養的機能についても形態学的解析を試みた。
なお一部の試料では、エポキシ樹脂連続切片にイオンエッチングを施し、SEM観察写真撮影後これを画像解析装置に入力し、三次元微細構造レベルでの構造解析も行った。
生後10週に脱神経した茸状乳頭は、脱神経3週後には糸状様乳頭に変化していた。一方生後1日に脱神経したものでは、術後2週までにほとんどの茸状乳頭が疑似糸状乳頭にまで変化し、三次元微細構造レベルでの解析でも正常な糸状乳頭との識別はできなかった。生後1日に脱神経したものでは、正常な茸状乳頭に復することもなかった。唾液腺については、生後1日に脱神経したラット舌下腺のいくつかの小葉で漿液性細胞の比率が高くなり、顕著な脱神経の影響が認められた。また筋上皮細胞についても、筋上皮細胞の分化が進んでいない生後間もない時期での脱神経により、その後の正常な分化が著しく抑制されることが明らかとなった。生後8週以降の脱神経ではいずれの腺組織においても腺組織の萎縮がみられたことを除いて組織構築に著編は認められなたかった。以上の結果から、舌背茸状乳頭や唾液腺の腺房細胞ならびに筋上皮細胞の組織分化、特に生後早期の組織分化にとって、支配神経の栄養的な関わりが必須のものとして要求されることが明らかとなった。
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