昨年度までに、破骨細胞形成阻止因子を産生する細胞からの破骨細胞阻止物質の単離、精製ができたので、本年度は、本因子の性質を調べた。その結果、本破骨細胞阻止因子は、以下の性状をもっていることが明らかとなった。 ● 分子量200Kと22Kの2つの蛋白質であった。 ● 本破骨細胞形成抑制因子は中和抗体の実験より、IL-4、IL-10、TNFαとは異なる物質であった。 ● 本因子は、IL-4などとはことなり、破骨細胞形成の分化過程に作用した。 ● 本因子の細胞膜への結合は可逆的であった。 ● 本因子は、破骨細胞形成を抑制するばかりでなく、形成された破骨細胞にも作用し、カルシトニン添加時と同様に、破骨細胞の形態変化を引き起こした。 ● pit formationを調べたところ、濃度依存的にpit formationを抑制した。 ● Vitamin D3添加時のpit formationの増加を本因子は完全に抑制した。 以上のように本因子は従来報告されていた破骨細胞形成阻止因子とは全く異なっていた。さらに、本研究遂行時に明らかになった0steoprotegerin(0PG)/0steoclastogenesis inhibitory factor(0ClF)とも異なっており、新しい破骨細胞形成阻止因子であることが明らかとなった。
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