研究概要 |
アルカリホスファターゼ(ALP)活性測定というタンパクレベルで調べられてきた、さまざまな誘導現象を遺伝子発現レベルで捕らえて研究を進めてきている。すなわち、In vitroにおいては、ヒト歯根膜細胞、歯髄細胞、歯肉細胞などの培養細胞におけるALP遺伝子発現について骨型、肝型の識別と制御機構の解明を行い、論文にまとめた(Calcif.Tissue,Int.1999 in press)。さらにヒト歯根膜細胞で、レチノイン酸による誘導におけるALP遺伝子発現についても骨型、肝型の識別と制御機構の解明を試み、論文に発表した(J.Periodon.Res.33:428-433,1998)。また、In vivoにおいては、動物実験により、骨粗鬆症ラット、糖尿病ラットを用いて、生体内ALPの動態の変化(血中、骨、肝、腎、小腸等)を酵素活性だけでなく、RT-PCR法により遺伝子発現レベルで明らかにするため、実験を継続中である。さらに生理機能解明のため、正常あるいは異常ALP遺伝子を挿入した発現ベクターを作製し、細胞に強発現させて、その分子機構についての詳しい分析を行を試みている。ALPの遺伝子疾患である低ホスファターゼ症について、特に日本人に多くみつかっている、1735番目の塩基のチミン欠失の異常について、詳しい分析を行い、海外にて研究発表(Bone 23:S465,1998)、さらに論文にまとめた(J.Bone Mineral Res.13:1827-1834,1998)。現在、低ホスファターゼ症患者で見つかった、その他のいくつかの異常ALP遺伝子についても、臨床との関係から、詳しい分析を試みているところである。
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