研究課題/領域番号 |
10671738
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
米原 典史 大阪大学, 歯学部, 講師 (70124534)
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研究分担者 |
郭 哲輝 大阪大学, 医学部, 助教授 (50126570)
竹村 元秀 大阪大学, 歯学部, 講師 (70192169)
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キーワード | アロディニア / 三叉神経核 / 一酸化窒素 / 下歯槽神経 / 末梢神経損傷 |
研究概要 |
身体のなかでも感覚の鋭敏な口腔領域は常に過酷な環境に晒されている。それゆえ炎症および痛みは口腔領域の疾患の中で大きな割合を占めている。本研究は末梢神経損傷に伴い発現する不可解な痛み(持続的疼痛および感覚異常)の発症機序を組織学的、分子生物学的に解明することを目的とし、平成10年度は主として、(1)口腔領域で持続的痛覚過敏を発症する動物の作成を行った。(1)末梢求心路損傷による痛覚過敏動物の作成:実験動物としてラットを使用した。(1)求心路遮断痛を発症する方法として、cromic製縫合糸(4-0)で下歯槽神経を緩やかに3カ所結紮した。また別の実験では、(2)下歯槽神経切断動物および、(3)下唇に5%ホルマリンを0.2ml投与することにより炎症誘発動物を作成した。各方法での痛覚行動の変化を本年度研究費補助金により作製した動物行動測定装置により経時的に記録し検討を行った。「結果」下歯槽神経結紮ラットでは、結紮後1週間から2週間にかけて、結紮神経支配部位周辺に対する、ひっかき行動の増加が観察された。現在(2)および(3)の方法により作製された病態動物での痛覚閾値の変化と、(1)の実験動物で得られた結果を比較検討中である。(2)三叉神経感覚核群で痛覚過敏に関わる侵害受容神経および受容体の解明:正常ラットおよび下歯槽神経結紮による痛覚過敏状態ラットの三叉神経脊髄路核尾側亜核浅層領域を灌流し、歯髄刺激に伴う灌流液中での一酸化窒素(NO)およびサブスタンスPの変動を検討中である。「結果」正常ラットでは、歯髄刺激により灌流液中でのNOは減少傾向を示した。また灌流液中へのNMDA(1mM)添加によりNO遊離が増加した。現在サブスタンスPの変化および病態動物でのこれらの内因性痛覚情報伝達関連物質の変動を比較検討中である。(3)痛覚過敏に関わる遺伝子転写制御因子の存在について検討:平成10年度では、実験計画の段階であり平成11年度以降に遂行する。
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