研究概要 |
1.インターロイキン6(IL-6)の骨芽細胞分化誘導作用 未分化間葉系細胞C3H10T1/2を用いて、IL-6が未分化間葉系細胞の骨芽細胞への分化を誘導できるか否かを検討した結果、IL-6は可溶性IL-6レセプター(sIL-6R)存在下において、C3H10T1/2を骨芽細胞誘導できることが明らかとなった。さらにIL-6ファミリーであるオンコスタチンMも同様の活性を示した。 2.骨芽細胞分化に関わるIL-6細胞内シグナリングの解析 C3H10T1/2の骨芽細胞分化に伴って、IL-6/sIL-6Rが、IL-6の受容体であるgp130をチロシンリン酸化し、IL-6細胞内シグナルを担うJAK1,2キナーゼおよびSTAT1,3を活性化することが明らかになった。さらにIL-6/sIL-6Rは、JAK/STATシグナル伝達経路とは異なる重要な細胞内シグナル伝達経路であるMAPキナーゼ経路をも活性化することが判明した。 3.JAK/STATシグナリングの骨芽細胞分化誘導過程における役割 Dominant negative JAKキナーゼ(DN-JAK)およびdominant negative ras(DN-ras)を用いて、JAK/STAT経路およびMAPキナーゼ経路の骨芽細胞分化に対する検討を行なった。その結果、JAK/STATは、IL-6の骨芽細胞分化誘導に必須であること、さらにMAPキナーゼは、STAT1および3をセリンリン酸化することによりSTAT経路の活性化を増強していることが明らかとなった。 4.BMP2シグナリングの骨芽細胞分化への関与 BMP2の細胞内シグナルの伝達するSmadファミリーの遺伝子クローニングに成功した。このうちSmad1およびSmad5がSmad4と協力して、Cbfa1の発現を誘導し、骨芽細胞分化を促すことを見出した。
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