研究課題/領域番号 |
10671742
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堀之内 康文 九州大学, 歯学部, 助手 (80219229)
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研究分担者 |
白砂 兼光 九州大学, 歯学部, 教授 (30093420)
窪田 泰孝 九州大学, 歯学部, 助手 (60205151)
石橋 浩晃 九州大学, 歯学部, 助手 (90254630)
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キーワード | 血管新生 / 血管内皮細胞増殖因子 / アンジオテンシンII |
研究概要 |
本研究の材料としてヒト臍帯静脈を用いる予定であったが、近年の白血病の治療としてヒトサイ帯静脈血が用いられるようになり入手が困難になってきたため、ラット肺動脈を用いて本研究を継続することとした。理由はもちろんラットは入手が用意で、肺動脈は抵抗抹消血管である上に低酸素性血管収縮という特徴も持ち合わせており、本研究を適用することに決定した。収縮法を用いてアンジオテンシンIIおよびVEGFの効果を検討したところ、VEGFはなんら影響をおよぼさなかったがアンジオテンシンIIは血管内皮細胞の処置の有無によって、明らかに優位のある結果を得た。すなわち内皮細胞未処置の組織はアンジオテンシンII1000M投与により一過性の収縮を認めたのに対し、処置済みの組織は持続的な収縮を認めた。これは内皮細胞がアンジオテンシンIIによってなんらかの弛緩物質を放出しているに他ならず、アンジオテンシンIIによって、血管内皮細胞の細胞内Ca上昇を導くことと相応しており、恐らくNOを分泌しているものと思われる。これは未だ世界においても報告がなく画期的な発見であるといえる。またその拮抗薬であるロサルタンやTCV116によってその収縮は抑制された。がしかし、内皮細胞への影響を考慮する必要がある。すなわちアンジオテンシンII拮抗薬がNO産生を直接よくせいするのか、あるいはアンジオテンシンIIによってNOが産生されるときのみ抑制するのかは非常に重要で先を急がなければならない。またアンジオテンシンIIおよびその拮抗薬の細胞増殖能および管腔形成能に関しては、ようやくラット肺動脈の血管内皮細胞の分離培養に成功し、今からその成果に期待するところである。以上のように研究対象をヒト臍帯静脈からラット肺動脈へ変更したため若干の遅れを生じたものの本研究は順調に遂行されているものと思われる。
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