研究課題/領域番号 |
10671742
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
堀之内 康文 九州大学, 歯学部, 助手 (80219229)
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研究分担者 |
白砂 兼光 九州大学, 歯学部, 教授 (30093420)
窪田 泰孝 九州大学, 歯学部, 助手 (60205151)
石橋 浩晃 九州大学, 歯学部, 助手 (90254630)
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キーワード | アンジオテンシンII / 血管内皮細胞 / NO / カルシウム |
研究概要 |
前年度の実績報告で、ラット肺動脈に収縮法を適用し、アンジオテンシンIIおよびVEGFの効果を報告したが、今回はラット肺動脈血管内皮細胞にパッチクランプ法を適用しその効果を検討した。収縮法でも報告した通り、VEGFはパッチクランプ法においてもなんら影響を及ぼさず、一方、アンジオテンシンIIは一過性の内向き電流を観察することができた。この電流はCl^- channel selective antagonistであるniflumic acidによって抑制され、細胞外環流液を生理的食塩水から、ナトリウムを非常に大きな分子量を有するn-メチル-dグルカミンで置換してもこの電流は観察され、また細胞内のヘパリン存在下でこの電流は惹起されないことから、この電流はCa^<2+>-activated Cl^--channelの活性化による電流であることが判明した。またこの電流はアンジオテンシンII拮抗薬であるTCV116によって抑制されることから、アンジオテンシンIIはAT-1receptorに結合して、G蛋白を介してホスホリパーゼCが活性化されIP3産成促し、細胞内のCa^<2+> storeからCa^<2+>が放出されることが示唆された。また、収縮実験法において、内皮未処置の標本ではアンジオテンシンIIによって一過性の収縮が認められたが、NOの合成阻害剤であるL-nitro-arggininを投与すると持続性の収縮に変わったことから、アンジオテンシンIIによってラット肺動脈の血管内皮細胞でNOが合成されていることが判明した。また、ラット肺動脈内皮細胞の分離培養においては、アンジオテンシンII100nM存在下では優位に増殖し、その増殖は、TCV116によって完全に抑制された、さらに興味深いことにTCV116単独投与においても、その増殖を抑制した。これは内皮細胞自身がアンジオテンシンIIの合成酵素を有する可能性を示唆している。以上の様にアンジオテンシンIIによる血管、特に内皮細胞の影響を中心として多面的にとらえることができた。
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