研究課題/領域番号 |
10671743
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岡田 幸雄 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60136687)
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研究分担者 |
藤山 理恵 長崎大学, 歯学部, 助手 (10274664)
宮本 武典 長崎大学, 歯学部, 助手 (10167679)
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キーワード | 味細胞 / サッカリン / GTPγS / ホスホリパーゼC / パッチクランプ / ウシガエル / イオンチャネル / 情報伝達 |
研究概要 |
実験にはウシガエルを用いた。脊髄を破壊した動物から舌を摘出し多数の味覚円盤を切り出した。酵素処理により単離味細胞を得た。カエル味細胞はフォーク型とロッド型に分類され、実験にはロッド型を用いた。パッチクランプ法の全細胞記録法を用いて味細胞の膜電位を固定し、味刺激で誘発される膜電流を記録した。味細胞の膜電位を-50mVに保持しながら-100mVがら+100mVの間のランプ電位変化に対して流れる膜電流を測定して電流-電圧(I-V)特性を求めた。また、-80mVの保持電位からのスナップパルスによっても電流-電圧特性を求めた。 10mMCl^-を含む電極内液で膜を破り全細胞固定の状態にして36個のロッド型細胞を30mMサッカリンで刺激すると、-50mVの保持電位で9個の細胞が内向き電流を発生した。このサッカリン感受性を持つ9個の細胞の内、5個の細胞は一過性の応答を示したが、4個の細胞は持続性の応答を示した。 G蛋白の活性化剤であるGTPγS(0.5mM)を電極内液に加え膜を破り26個のロッド型細胞の細胞内に灌流した。GTPγS灌流により2個の細胞が一過性の内向き電流を示した。GTPγSは電位依存性のNa^+電流とK^+電流には効果がなかった。サッカリン刺激に対して4個の細胞は一過性の内向き電流を示し、2個の細胞は持続性の内向き電流を示した。このように、GTPγSはサッカリン応答を特に増強することもなかったが、逆に抑制することもなかった。 次に、G蛋白の阻害剤であるGDPβS(0.5mM)を電極内液に加えると、16個のロッド型細胞は全くサッカリン応答を示さなかった。GDPβSは、電位依存性のNa^+電流とK^+電流を抑制せずサッカリン応答を選択的に抑制した。 以上の結果より、カエルのロッド型味細胞のサッカリン応答にはG蛋白が介在することが示唆された。
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