超高齢化社会の到来、激動する社会情勢下にストレスの高まりに伴う神経抑制性の薬物の服用機会の増加、エステの流行に伴う食欲抑制剤の飲食等が原因となり、老齢者だけでなく若年者にもHyposalivationあるいはXerostomiaの患者が年々増加している。これらの人々のQOLを確保するために自律神経系を介さない催唾剤の開発が急がれる。これらのことから本実験の最終目的は自律神経系を介さない催唾剤の開発にある。このような理由からペプチド性催唾剤の開発に着目した。催唾作用を示すペプチドはC末のペンタペプチドの構造(FXGLM-NH2)が特異でタキキニンに分類されるもののみであった。昨年にC末のヘプタペプチドの詳細を明らかに出来たので、今年はその成績を基に1-4位にあるN末及びC末5、6あるいは8位の機能を検索した。また、NKAやNKB及びそれらのアナログも検索した。その結果、C末のヘプタペプチドの活性が強い時はN末1、2位のアミノ酸は抑制的に働き、ノナペプチドで十分に機能を発現する事、逆にC末のヘプタペプチドの活性が弱いか不活性の時には、N末部分のアミノ酸残基は促進的に働くこと、C末ヘプタペプチドの活性は5、6及び8位のアミノ酸残基の組み合わせモードにより決定されること及び5位のSやFのみがNK2やNK3レセプターを認識するアミノ酸ではないこと等を明らかに出来た。更に、今回、天然に存在する20個のタキキニンのうち催唾作用が最も強いChiken SPの2倍以上の活性を持つノナペプチドを開発できた。これを用いて更なる検索を重ね初期目的の催唾剤を開発する予定である。
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