本研究目的を遂行するために平成10年度は以下の研究がなされた. 1. 骨とその周囲組織との関係の確認 走査型電子顕微鏡を使用し、骨と骨芽細胞、線維性結合組織、血管そして神経線維との形態学的関係を確認した。 その結果、生理的状態では当然ながらこれまでの報告と一致した.しかし病的状態(創傷治癒過程)では、骨膜剥離部分の骨芽細胞の欠落と集積の遅延、部分的な血管再生と増殖、神経線維の再生などが確認され、骨の創傷治癒過程における時間的かつ空間的な組織細胞間の関係が明らかになりつつある。 2. 幼弱な骨と成長した骨を用い、成長因子、増殖因子の存在を免疫組織化学的方法により検討した.結果は、組織の固定条件、脱灰法、抗体の希釈率など種々の条件によって一定せず、成長や創傷治癒に関係する各因子の存在は有る程度確認されたものの、条件設定など差なる検討が必要と考えられた。 3. 分子生物学的検討では、現在DNAおよびRNAプローブの作製が行われており、平成11年度の課題と考えている。
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