研究課題/領域番号 |
10671764
|
研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
阿部 一彦 東北福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (40151089)
|
研究分担者 |
阿部 昌子 東北大学, 歯学部, 助手 (30175905)
|
キーワード | Streptococcus sanguis / ヌクレオチド代謝 / ヌクレオチダーゼ / シチジン1リン酸(CMP) / 口腔細菌 / 嫌気代謝 / Streptococcus mutans |
研究概要 |
口腔内細菌は、血液循環により容易に身体各部位に運ばれ、口腔内レンサ球菌の一つであるStreptococcus sanguisは、腎膿瘍など全身の膿瘍部位に多く認められる。膿瘍部位などの炎症巣には破壊された組織や死滅した白血球由来のヌクレオチドが多量に存在することが知られているので、口腔内レンサ球菌がヌクレオチドを代謝できるかどうかについて検討した。10年度は、主として無細胞抽出液と細胞膜分画を試料として検討したが、今年度は、Streptococcus sanguisとStreptococcus mutansを嫌気的に培養した生菌を用いて検討を重ねた。実験はすべて高度嫌気条件で行った。生菌懸濁液にシチジン1リン酸(CMP)を加えて反応を開始し、CMPの減少と生じたシチジンを高速液体クロマトグラフィー(HPCL)で、生じたリン酸を呈色法(Fiske-Subbarow法)で定量した。その結果、S.sanguis生菌はCMPを分解し、それに見合ったリン酸を菌体外に放出した。しかし、シチジンは菌体外にほとんど放出されなかった。10年度の検討では、S.sanguisの細胞膜分画には高いヌクレオチダーゼ活性が認められることが判明している。以上のことから、S.sanguisは菌体外のCMPを菌体膜のヌクレオチダーゼによってシチジンとリン酸に分解し、生じたシチジンを直ちに取り込むことが示唆された。一方、S.mutansにはヌクレオチダーゼ活性は認められず、生菌も菌体外のCMPを分解することもなかった。すなわち、S.sanguisは菌体外のヌクレオチドを菌体膜に存在するヌクレオチダーゼにより分解し、菌体内で利用する代謝系をもつと考えられた。
|