研究課題/領域番号 |
10671770
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
湯浅 賢治 九州大学, 歯学部, 講師 (40136510)
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研究分担者 |
吉浦 一紀 九州大学, 歯学部, 講師 (20210643)
吉野 真弓 九州大学, 歯学部, 助手 (50253464)
中山 英二 九州大学, 歯学部, 助手 (60172467)
河津 俊幸 九州大学, 歯学部, 助手 (20294960)
中野 敏昭 九州大学, 歯学部, 医員
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キーワード | 頚部転移リンパ節 / 微小転移巣 / 超音波ドプラ法 |
研究概要 |
本年度の研究によって得られた研究成果は以下の通りである。 1. 雑系白色家兎の舌にVX2癌細胞を移植し、頚部リンパ節へ転移をきたす実験系を確立した。 2. 超高周波(13MHz)の超音波装置のパワードプラ法を用いることにより、雑系白色家兎の舌癌からの頚部転移リンパ節内の低血流速(流速2cm毎秒以下)をベースラインとした血管分布像の超音波画像を得る方法を確立した。 3. 雑系白色家兎の頚動脈から硫酸バリウムを注入し、頚部転移リンパ内の血管造影像(造影剤は硫酸バリウム用いた)を撮影する方法を確立した。 4. 上記した雑系白色家兎の頚部転移リンパ節内の血管系の超音波パワードブラ像、血管造影像および病理組織像とを比較検討することにより以下の結果を得た。 (1) 超音波パワードプラ像は、血管造影像で観察される転移リンパ節内の血管分布像のうち極微細な血管像を完全には描出することはできなかったが、血管の増殖や減少、血管像の陰影欠損像等の血管の分布パターンは反映していた。つまり、超高周波の超音波装置による低血流速をベースラインとしたパワードプラ法は、リンパ節内の血管分布パターンの把握には有用であることが分かった。 (2) 頚部リンパ節の腫瘍が微小である時点においては、血管造影所見や病理組織所見では、リンパ節内の血管は増殖し、腫瘍が増大するに伴い、その血管を取り囲むような血管の走行が観察された。そして、この現象を超音波パワードプラ法は表現しうることが分かった。つまり、頚部リンパ節内の転移巣が微小である時点から、超音波パワードプラ画像において診断しうることが示唆される結果であった。 5. 今後は、超音波パワードプラ像による頚部リンパ節微小転移巣と炎症性リンパ節腫大との鑑別のための診断基準を設け、その診断能についての検討を行ってゆく。
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