研究概要 |
1, 扁平上皮癌細胞株(NA)の培養、増殖曲線について 10%FCS+Eagle′sMEM培地に約2X10^4個/mlの細胞をまき、培養を開始する。細胞数は、平均で2日目2.6X10^4個/ml、3日目6.3X10^5個/ml、4日目4.2X10^6/ml、5日目5、2X10^6個/mlとなった。トライパンブルー染色にて死細胞の割合を確認すると3日目、4日目は10%以下で、5日目以降死細胞の割合は著しく増加した。本実験では、細胞増殖の盛んな培養3日目のものを選択した。 2, NA細胞に与えるペプレオマイシン(PEP)の影響 扁平上皮癌に対する代表的抗癌剤であるPEPを種々の濃度で培養細胞にエキスポージャー後、12、24時間で培養細胞に与えるPEPの影響を検討した。その結果、100mcg濃度のPEPで細胞は早期の段階ですべて死滅した。lmcg、10mcgPEP濃度で細胞のアポトーシスが認められた。0.01mcg以下の濃度では変化は認められなかった。アポトーシスはDNA電気泳動によるラダーの検出で判定した。 3, NA細胞培養液中の各種サイトカインの濃度とPEPの影響 同様にPEPで12時間エキスポージャー後の培養液中の各種サイトカイン量を測定した。0,1〜10mcgPEP濃度でほぼ濃度依存性にIL-1α、TNF-α、IFN-γの増加傾向が認められた。IL-2、IL-6については変化は認められなかった。 なお、腫瘍細胞の増殖に関与するとされるTGF-β、IL-12については今後検討する予定である。また、培養液中のサイトカインの増加が細胞の破壊によるものか、リリースによるものか区別するため、mRNA発現について今後検討したい。さらに宿主の免疫機構の変化を検討するため、NA細胞移植マウスについて今後同様の検討を加えたい。
|