研究課題/領域番号 |
10671777
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
蜂須 玲子 昭和大学, 歯学部, 助手 (10164857)
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研究分担者 |
田谷 あつ子 昭和大学, 歯学部, 助手 (00291675)
花澤 智美 昭和大学, 歯学部, 助手 (20245872)
山口 朗 長崎大学, 歯学部, 教授 (00142430)
岡野 友宏 昭和大学, 歯学部, 教授 (20124688)
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キーワード | 放射線影響 / 骨芽細胞 / ラット / アルカリフォスファターゼ / 石灰化 |
研究概要 |
Bone morphogenetic protein-2(BMP-2)は、未分化間葉系細胞から骨芽細胞への分化を誘導し、さらに骨芽細胞の細胞の分化を促進する事が報告されている。本実験では培養骨芽細胞様細胞を用いて、細胞の分化におよぼす放射線の効果および放射線を照射した細胞へのBMP-2の効果を検討した。 実験に用いた骨芽細胞様細胞(rat osteoblast-like cells:ROB細胞)は、新生仔ラットの頭蓋冠から酵素処理により分離して培養した。1継代目および2継代目の細胞をマルチウェルプレートに播種して培養し、4MVエックス線を照射した。コントロールには非照射の細胞を用いた。BMP-2の効果は、培養3日目に照射した細胞に、直ちにBMP-2 25ng/mlを加えて3日間培養した後に、12日目まで培養を行って検討した。 結果として、1継代目と2継代目のROB細胞では放射線の感受性に違いがみられた。2継代目の細胞では、細胞を培養3日目および6日目に2Gy以上照射すると、培養12日目においてalkalinephosphatase(ALP)活性の減少と石灰化した骨様結節数の著明な減少がみられた。一方、1継代目の細胞では、培養3日目に照射すると、5Gy以上で線量の増加に伴ってALP活性が低下した。以降のBMP-2を添加する実験は、1継代目の細胞を用いて行った。2および4Gy照射後のALP活性は、BMP-2の添加群において非添加群と比較して活性の増加がみられた。5、10、15Gy照射後のALP活性は、BMP-2の非添加群と添加群において差がみられなかった。骨様結節の形成は、4、8Gy照射後に、BMP-2の添加群において非添加群と比較して有意に増加したが、 12Gy照射では添加群と非添加群に差がみられなかった。以上の結果からエックス線を照射したROB細胞にBMP-2を添加して培養すると、照射による骨様結節数の減少に対して改善がみられた。従って、放射線照射された骨において、BMPにより骨形成が改善されることが期待された。
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