研究課題/領域番号 |
10671778
|
研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
海老原 洋子 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00129355)
|
研究分担者 |
野間 弘康 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40085791)
奥田 克爾 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40085741)
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00212910)
三浦 直 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (10266570)
水野 嘉夫 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40051750)
|
キーワード | Helicobacter pylori / 口腔癌 |
研究概要 |
我々は免疫能の低下した口腔癌患者においてはHPは口腔内に存在しうるか否か、またHPは口腔癌の発生に関与するか否かについて検討した。 (方法)対象は口腔癌患者36名である.デンタルプラーク、唾液および口腔癌表面粘液を採取後胃内視鏡を施行して胃粘膜を採取した. 以上の検体よりr-RNAよりデザインされたprlmerを用いたPCR法でHPの検出を行った.HPに対する拮抗作用はStreptoco ccus mutansとPrevotella Intermedlaが胃より分離したHPの発育を阻止するかstabCulture法により検討した.またこれらのうち、口腔癌表面の粘液によりHPの検出された3例は手術後癌組織を10%ホルマリンで固定後H・E染色にてHPの局在を検討した. (結果と考案)胃粘膜HPは口腔癌患者の72%に認められた。口腔内ではデンタルプラークに4例(11%)、唾液に4例(11%)、口腔癌表面の粘液に3例(8.3%)に認められた.これら口腔癌患者の胃粘膜のHPの口腔内常在菌であるS.mutansとP.Intermediaへの拮抗作用では、いずれの口腔内常在菌によってもHPの発育は有意に阻止された.口腔癌表面粘液にHPを認めた症例ではH.E染色によるHPの局在は口腔癌辺縁の上皮にそって比較的びまん性に認められた.これら口腔内にHPを認めた4例はいずれも口腔癌が2cm以上の大きな病変で、胃粘膜HPも陽性であった.これらから口腔癌患者の口腔内HPは胃からの逆流によるが、口腔内常在菌の拮抗作用で排除されても他の細菌にトラップされて口腔内に存在する可能性が高く、口腔癌発生との関与は低いと考えられる。
|