研究概要 |
P.gingivalisの赤血球凝集活性には、赤血球凝集活性の関わる分子に存在する配列「PVQNLT」が重要なことから、このアミノ酸配列に注目した実験を行った。 1.合成ペプチドのを用いた抑制効果 赤血球凝集活性抑制抗体が認識する部位(PVQNLT配列)と、抑制抗体結合ファージ発現ペプチド実験の情報をもとに、最小限の有効なペプチド、若しくは赤血球凝集活性を抑制可能な構造をとりうるペプチドの探索を目指し、PVQNLT,PLQNLT,PVSQRL,LKWDAP,PVSNLT,APVQNLTのぺプチドをを合成し、赤血球凝集活性抑制効果を検討した。これらのうち、PVQNLT,PLQNLT,PVSQRL,LKWDAPに弱いながらも赤血球凝集活性抑制作用が認められた。 2.ラクトシアル酸の抑制効果 インフルエンザウィルスは赤血球膜や細胞膜の表層の糖鎖を認識することから、P.gingivalisの付着に細胞表面の糖鎖が関与するかを検討した。N-acetylneuraminic acid,6'-sialyllactose(6'-SL),6'-sialyllactosamin(6'-SLN),3'-sialyllactose(3'-SL),3'-sialyllactosamine(3'-SLN)を用い比較した結果、N-acetylneuraminic acidは抑制効果が認められなかったが、6'-SL,6'-SLN,3'-SLには抑制効果が認められた。3'-SLNは弱い抑制効果が認められた。以上の結果から、赤血球細胞膜の糖鎖への結合を抑制することでP.gingivalisの口腔内感染を抑制可能なことが推測された。
|