研究概要 |
柑橘類に含有され抗酸化作用を持つaurapteneは、ラット舌発がん(Carcinogenesis 19:425-431,1998)や大腸発がん(Cancer Res,58:2550-2556,1998)を効果的に抑制すること、タイ王国で食されている香辛料に含まれる1´-acetoxychavicol axetateには抗酸化作用があり、マウス皮膚における発がんプロモーター誘発酸化的ストレスや炎症反応を効果的に抑制すること(Cancer Res.58:4832-4839,1998)が判明した。別に、lipoxygenase(LOX)、COXの阻害作用を持つ天然性化合物モリンについて、舌発がんの修飾作用を4-NQO誘発ラット舌発がんモデルのイニシエーション相、後イニシエーション相に混餌投与(250ppm、550ppm)して検討した結果、いずれの相に投与しても著明な発がん抑制効果(44%〜100%の抑制率)がみられ、その抑制効果に解毒酵素の誘導が関与していることが判明した(投稿中)。 化学発がん剤4-Nitroquinoline 1-oxide(4-NQO)誘発ラット舌発がんモデルを用いて、inducible NO synthase(iNOS)の免疫組織化学染色を施し、舌発がん過程にiNOSが関与するか否かを検討した。その結果、4-NQO投与ラットで腫瘍の発生した舌では、腫瘍発生をみなかった舌に比べ、有意にiNOS陽性マクロファージが増加していた。組織分布をみると、両群とも舌尖部、舌中央部、舌根部の順にiNOS陽性マクロファージが増加していた。これらの結果から、4-NQO誘発舌がんにiNOSの発現が何らかの関与をしていることが示唆された。現在、eNOS発現についても免疫組織化学的に検討し、データを蓄積している。加えて、4-NQO誘発舌腫瘍(扁平上皮癌、乳頭腫)や異形成についてcyclooxigenase 1(COX-1)及びCOX-2の発現を免疫組織化学的ならびにメッセンジャーレベルで測定中であり、データを蓄積しいる。
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