研究課題/領域番号 |
10671786
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
馬嶋 秀行 放射線医学総合研究所, 国際宇宙放射線医学研究センター, 研究員 (60165701)
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研究分担者 |
安藤 興一 放射線医学総合研究所, 国際宇宙放射線医学研究センター, 研究員 (00159526)
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キーワード | 放射線 / アポトーシス / ミトコンドリア / 致死機構 / 活性酸素 / 高感受性 / ビタミンE |
研究概要 |
本研究の目的は、放射線による細胞の死がミトコンドリアを介しおこる、すなわちMitochondria mediated cell deathがおこることを明らかにし、またその機構について開明することにある。ミトコンドリア障害を示す細胞が、放射線に対し高感受性を示せば、ミトコンドリアの障害が直接あるいは、間接的に細胞の致死を決定することが証明できる。初年度では、まず、ミトコンドリア内電子伝達系の傷害されている細胞について、この細胞が、放射線に対しどのような感受性を示すかを種々のエンドポイントを用い調べた。親細胞株はヒト由来骨肉種細胞143Bであり、ミトコンドリア内電子伝達系障害細胞は143B細胞から由来した143B-87細胞である。X線に対する生存率をコロニー形成法で調べた結果、143B-87細胞は放射線感受性が5Gyの照射でおよそ100分の1に低下することがわかった。本年度では、143B-87細胞のこの放射線高感受性がアポトーシスによるかを調べた。染色体のフラグメンテーションにて調べた結果、143B細胞と143B-87細胞では、アポトーシスの頻度がほぼ同等におこることがわかり、さらにアポトーシスの指標となるPARP(poly-ADP ribose polymerase)の切断でも、切断が認められず、よって、この感受性の差は、アポトーシスによるものではないことが判明した。さらに、この感受性はビタミンEの投与により軽減されることがわかり、間接的に143B-87細胞の放射線感受性増加は活性酸素の増加に伴うことが明らかとなった。
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