研究概要 |
低出力照射法は光重合型コンポジットレジンの重合収縮をそのフローによって補い窩壁適合性の向上はかるものである。従ってレジン内部への照射光の透過度はコンポジットレジンの重合度ひいてはコンポジットレジン修復物の窩壁適合性に重要な影響を与えるものと考えられる。そこで低出力照射光のレジン内部への透過を試作した光パワー測定装置を用いて測定した。コンポジットレジン(Clearfil AP-X,Z-100)の数種のシェード(A3,A3.5,A4.B2,B3)で厚さ1,2,3mmの試料を各々作製した。測定装置の受光窓上に試料を置き、低出力照射光(8,9,10,11V)および通常出力照射光(12V)をあて透過した光を電圧として測定した。 その結果 1.レジンの厚さが増すと透過した光は減少した。8,9Vでは2mmから10,11,12Vでは3mmでかなり減弱した。 2.同じシェードでは同じ厚さで透過した光パワーは同程度となる傾向があった。 3.2製品ともシェードにより透過した光パワーは異なる傾向にあった。 以上から低出力照射での窩壁適合性の評価をするためには使用するコンポジットレジンのシェードならびに窩洞の深さを十分に考慮していかねばならないと思われる。これらのデータをふまえ牛歯あるいはヒト抜去歯に規格窩洞を形成し、充填した光重合型コンポジットレジンを決定した光照射条件で光重合させ、サーマルサイクリング試験後の窩壁適合性を検討している。その後、各種の光照射条件下での樹脂含浸層の弾性を測定する予定である。
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